2009年6月10日水曜日

仕事で触ったスーパーコンピューター 1 DEC MasPar

10年以上も前の話になるが、スーパーコンピューター(スパコン)を使用する科学技術計算システムを構築し、その後管理・運用をしていたことがある。そのプロジェクトで触ったスパコンの1つがDEC MasParだった。(写真は私が触った実機ではない)

decmaspar

Wikipediaによると、MasParは1996年に製造を止めているので私が触った機械は生産終了寸前の物だったらしい、日本にはそれほど台数が入っていなかったので貴重な経験をしたという訳だ。

このMasPar、内部には16,384個もの計算ユニットを内蔵していて、それぞれのユニットがグリッド状にクロスバースイッチで内部結線されていた。(機械が故障したときにDECのCEの人が中を開けて中を見たのだが恐ろしく配線密度の高い基盤が多層構造で入っていた)最近のWebの記事でMasParというキーワードに引っかかるものがあってびっくりしたのだが、グラフィックプロセッサーで有名なNVIDIAがMasParの技術者を引き抜いたそうだ。GPUを用いてスパコン的な処理をやらせることが最近流行り始めているので、MasParが用いているSIMDというアーキテクチャーを現代のGPUに応用しようとしたわけだ。

個人的にはこのマシンで開発などはしたことが無いが、root権限を持っていたのでシステムの基本的なところは触っていた。しかしながら、このMasParは16,384個の計算ユニットが動いているところにはシェルからは直接触れないようになっている。フロントエンドにDECのUNIXワークステーションがついていて、MasParへのジョブはこのワークステーションからサブミットする仕組みなのだ。したがって、マシンにログインしても普通のUNIXマシンと何も変わらない感覚で特におもしろいことは無かった。しいて挙げるなら、フロントのDECのマシンのコンソールがGUIではなくVTと呼ばれるキャラクター端末であったことが記憶にある。今でもtelnetなどで端末タイプを決めるときにVT-100などと設定することがあるが、VT-100というのは本当にあったハードウェアの端末なのだ。VT-100はかなり昔のものなので、さすがにMasParについているものはVT-3xxと300番台だった記憶がある。ただ、進化版のVT-3xxでも画面はグリーンディスプレイでキーボードは現代では考えられない非常に無骨なものだった記憶がある。タッチして入力するというよりは叩いて入力するという言葉が相応しいキーボードだった。

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